FileMakerとAccessの比較

この記事では、私の個人的なAccessFileMaker双方の開発経験から、両者の比較について解説させていただきました。

恐らく、Google検索で、FileMakerAccessの比較に関する情報を求められている方は、SIerやソフトウェア開発会社にいるプログラマ・SEではなく、自社システムを社内開発したい…つまり内製化を考えている事業部門の御担当者か、社内SEの方になるでしょう。

なぜなら、ソフトウェアの開発を請け負うプログラマ・SEほど、FileMakerプラットフォームを敬遠する傾向があるからです。

これには2つの理由があります。

まずひとつ目は、最初から「FileMakerプラットフォーム=エンドユーザ向けのオモチャ」とラベリングしてしまい、実際に自分の手で検証をしない傾向にあることです。

FileMakerは、FileMakerジャパンのマーケティング戦略から「カジュアルデータベース」というキャッチフレーズで売りだされています。

これは、FileMakerがとっつきやすいという意味では素晴らしいキャッチフレーズなのですが、ITプロフェッショナルからすると「カジュアルなデータベースでミッションクリティカルなソリューションはつくれない」という十分な言い訳になります。

ふたつめの理由として、FileMakerプラットフォームの開発効率が極めて高いことによる開発工数減少のリスクです。

ソフトウェア開発ベンダーは、プロジェクトが大規模で人手がかかればかかるほど、売上が大きくなるというビジネスモデルです。これを「人月積算型ビジネス」と呼びます。

この人月積算型ビジネスは、うがった見方をすれば、非効率に人手をかければかけるほど、売上が大きくなるというビジネスでもあります。

また、能力の低いプログラマでも、数を集めて人海戦術で開発すれば、潤沢なキャッシュを得ることができるビジネスモデルでもあります。

そのようなビジネスモデルなので、極めて開発効率のよいFileMakerが魅力的に映るはずがありません。

開発効率が高くなり、より少ない人数、より短い期間でプロジェクトが終わってしまうようでは、彼らの売上は縮小してしまいます。

受託開発を生業としているソフトウェア開発ベンダーはこのようなビジネスモデルなので、FileMakerプラットフォームに感心を持つ理由がないのです。

一方、事業会社側で自社開発・内製化したい企業の立場に経つと、全く別のニーズがあります。

事業会社側は、できるだけ手間と時間をかけること無く、ビジネスに対して有益なソリューションを素早く開発したいはずですし、ビジネスの成長やビジネス環境の変化に合わせて柔軟にソフトウェアを進化させていきたいはずです。

なので、そもそもソフトウェアの受託開発会社が開発プラットフォームに求めるニーズと、事業会社で自社開発・内製化したい企業のニーズとは、根本的に異なるのです。

このような視点をもって、両アプリケーションを眺めてみると、また違った評価が得られるのではないかと思います。